
【収録時間】
1時間1分
【内容解説】
ブログでも頻繁に登場するこの問題。「またかー」と思われる方もいらっしゃれば「ドキッ」とされる方もいらっしゃるでしょう。
先日お会いした方は「以前からブログでそういう記事を見ていて薄々自分も危ないんじゃないかと思ってたんですけど、ばっちりハマってしまいましたー!!」とおっしゃってましたね。
この「旦那もいるけど彼氏もいる」という状態って、「旦那がほんといい加減でダメンズ、だから外に救いを求める」みたいな傾向を思い起こしやすいのですが、確かにそういうケースもあるんですけど、実際は、、、
「夫はとてもいい人。穏やかで優しくてパパとしては最高。でも、男としては・・・」
というパターンがとても多いんです。
なぜ、そうなってしまうのか?については様々な要因があります。
代表的なものを紹介していきましょう。
●女性性が豊かなので安定を求める一方で、後天的に自立して男性性を鍛えてきたため、刺激を欲してしまう。
●男性との競争心が常にあり、「釣った魚にゃエサをやらねえ」というマインドが生まれ、夫を手に入れた後に、新たな獲物を求めてしまう。
●幼少期、思春期の体験から「優しいパパ」を求め続けていた。それを夫で手に入れたがゆえに、「彼氏」が欲しくなる。
●セクシャリティは豊かだが、夫とは「家族」になってしまうので、セックスを「外」に求めるようになってしまう。
●自分が夫を「助ける」立場にいるために、今度は自分が別の男性から助けてもらいたいと思うようになった。
●親密感への怖れがあり、夫とこれ以上親密になることを避けるために、外に「保険」を作るようになる。
●夫との競争心の強さから、外に安心して甘えられる、自分を出せる場所を求めるようになる。
等々、もちろんこれらの要素が1つにまとまるわけではなく、つながっているものです。
「過干渉な母親に対抗すべく早くに自立したが、その分、子ども時代に子どもらしく過ごせなかった。」
「ダメンズな父親のため、母親を背負って生きてきた。それで理想のパパを求めるようになった。」
「期待されて育ち、ずっといい子・優等生をしてきたので、気付かずに息の詰まる生活をしてきた。それでアンダーグラウンドが必要になってしまった。」
「母親が姫というか娘だったので、自分が強くならざるを得なかった。しかし、自分も女の子として可愛がられたかった。」
そうしたストーリーを描いてみると、ああ、そうなっちまうのも無理はないよねー、ということになるものです。
自立的なマインドは思考的であり、システマティックであり、きちんとしたパーソナリティを作ります。これが男性性を育てます。
しかし、そのお陰で抑圧されてしまった依存心がずーっとくすぶっていて、これらがきれいに分離してしまうんですね。つまりは、女性性が抑圧されている、と思っていいわけです。
そうすると、この分離したマインドが別々のパートナーを求めるようになります。
自立的な自分は「共に成長できる存在」「切磋琢磨できる相手」「刺激を与え合う存在」を求めるんですよね。「相手にとって不足なし」な相手に惹かれるわけです。
しかし、依存的な自分は「甘えられる相手」「自分を可愛がってくれる相手」「安心感やつながりを与えてくれる相手」を求めます。いわば「家」の象徴です。
それで、後者と結婚すると、前者を浮気相手として選び、前者と結婚すると、後者を浮気相手として求めるようになるんです。
「穏やかで優しい、理想的なパパである夫」に満たされながらも、「刺激的で、自分を磨いてくれる相手」と体を重ねるわけです。
逆に「お互い自立同士の刺激的な夫とは衝突を繰り返す」場合は、年上の安心感を与えてくれる上司と一緒にいると安心できる上に、わがままを言えるんです。
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これを“心理学講座”として掘り下げるならば、そこでは自立vs依存、男性性vs女性性という葛藤が心の中で起きていると言えます。
そこは「vs」になっているように、戦いであり、競争です。
幼少期の父vs母を写し取った場合もあれば、父vs私、母vs私という図式を内面で表現している場合もありますし、思春期から出てくる「自立心旺盛な私vs親に甘えたい私」の葛藤がそのまま大人になっても残っている場合もあります。
細かく見ていけばケースバイケースなのですが、こうした問題は「その分離したマインドを統合する」ということを目標にしていきます。
「夫と彼氏とどっちか一人を選ぶ」なんてことは到底不可能なので(!)、そこは「そのうち自然と決まって来るから」と言って、落としどころをライフワークに見出だそうとするんです。
ライフワークと言うと大きなテーマなんですけれど、別の言い方をすれば「ほんまのあんたはどんな人なんだろうねえ?」というところをゴリゴリ見つめて行くことです。
「そうやって母親を支えてきたってことは女性性がめちゃくちゃ豊かなんだろうね。」
「お父さんと戦ってきた分、男性性がめちゃくちゃ育ってるんだけど、そうやって男性性を育てられるのも女性性が豊かだからなんよね」
「本来はセクシャリティが豊かだから女王様タイプなんだろうけど、ついつい奴隷化しちゃうのはたぶん、親のために相当犠牲を重ねてきたからだろうね。」
「しっかり者の長女として期待に応える生き方をしてきたんだけど、たぶん、ほんまはもっと“女”なんだろうと思うのよね」
「お母さんが“女”としてあなたに競争を仕掛けて来たみたいね。いっぱい嫉妬されたでしょ?だから、男の子っぽく育ったんだけど、実際はめちゃくちゃ女なんだよね」
そうした「本質的な自分」というのを見ながら、「じゃあ、あなたはどんな生き方をするのが幸せなんだろう?」というところにフォーカスしていくわけです。
内にある男性性と女性性、自立と依存のマインドは喧嘩するんじゃなくて、お互いに手を取り合う“パートナーシップ”を築いていく存在です。
外側の世界に起こることのすべては内面の投影である、という考え方があるように、自分自身が自分自身と仲良くすることが、パートナーシップがうまく行く秘訣でもあるんです。
だから、幸せなパートナーシップを築こうと思ったら、内なる自分とつながることが大事なんですね。
(でも、一般的に人はその手段よりも、パートナーとの間のつながりを築くことで、内面的なつながりを再構築しようとするものです。もちろん、それも悪いことじゃありません。)
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ライフワークってのは、そうした分離したマインドをつなぎ合わせて行く先に見えるものですから、本来の自分と出会い、その自分が生きるプロセスを探って行くことで「統合」が可能となり、結果的に夫か彼氏かの選択が“自然と”できるようになるんです。
ただ、この統合って当たり前ですけど抵抗があるんですよね。
このまま「夫もいるけど彼氏もいる」状態で幸せになりたいわけですね。欲しいものは何でも手に入るから。
もちろん、中にはその状態が自分にとってフィットする方もいなくはないですけれど、非常にマレであり、めったにいないので、ここにはあまり期待しない方が良いです。
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この問題って私がカウンセラーになった2000年頃にはあまりカウンセリングの議題に上がることはありませんでした。
むしろ、この問題は「男性」が持つことの方が多かったわけですね。
だから、その頃は「夫が浮気している」とか「既婚者と付き合っている」という相談が多かったのです。
もちろん、今でもその問題は一定数あるわけですが、女性の社会的進出が遅いなりにも進み、その分、女性の自立した結果、この「夫もいるけど彼氏がいる問題」が出てきたわけです。
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分離したマインドを統合するためには、内なる葛藤を収めるべく、親を受け入れ、許すプロセスが必要になることもあります。
また、幼少期に抱えた孤独感や不安感、居場所のなさなどを癒していく必要もあります。
さらに、本来の自分とのつながりを取り戻し、「生きやすくなる」ということも大切なプロセスです。
こうした試みを続けることで、自然と「夫 or 彼氏」の選択が可能になるだけでなく、それ以上に重要なヴィジョンが見えてくるんです。
「自分が本当にやりたいことが分かり、そこに向かって進むことができるようになり、そこで幸せになっていく。」
「母性が急激に目覚め、夫との子どもを作り、育てることに幸せを覚えるようになる」
そうしたプロセスを経ていく中で、「ああ、なんだかんだ夫ってちょうどいい、ほんとうにベストなパートナーなんだ」と自覚されていく方も多いものです。
もちろん、離婚を選ぶ方もいらっしゃるわけですが、その場合も「自分はこういう風に生きたい!ということが明確になった」分だけ、やはり自分にぴったりのパートナーを新たに見つけられたりします。
どんな結論になるのかは私も定かではないのですが、少なくても幸せな未来が待っていることは確かなのです。
・・・的な話をお届けするのがこの講座の目的です。